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オフィス賃料

以前にこちらのブログで、不動産ファンドの市況について簡単にコメントしましたが、
今日はそれに追加補足したいと思います。

昨今は、購入に動き始めたファンドも散見されますが、彼らの希望は、およそNOIで
8~10%、少し妥協して6~7%前後、という目線が多いようです。
(大雑把過ぎますかね(^_^;))
まぁ、資金的に困っている売り側の足元を見て、安く買い叩こう、という意図は判るのですが、
問題は、現行の賃料にかけるストレスです。

確かに、丸の内界隈や六本木ヒルズ等、超高額な単価の賃料であれば、
▲20%から30%、場合によってはそれ以上の下落を見込むのも判らなくもないのですが、
現行賃料が坪単価3万円程度のビルについて、「現在の募集賃料は2万5,000円程度
なので、近い将来は2万2000円以下になると考える。また、出口Capも高くなる。」
等で、極端なValuationに基づき、言い値を決めているのが、行き過ぎと思われます。

安直に考えると、同じ利回りでも▲30%の価格下落、利回りの上昇を勘案すると
▲40%から▲50%の、売主の購入価格からの下落となるでしょう。

これでは成立するはずのディールも成立しません。

賃料予測は困難な面もありますが、現行賃料と市場賃料の乖離が大きい場合でも、
1年や2年で市場賃料に収斂する可能性は小さく、3年から5年程度で緩やかに下落する
シナリオを書くのが通常であり、ましてや現在即時に賃料を30%減じて評価するなど、
基本的にありえない話です。

BROKERの皆さん(昔の意味の不動産ブローカーではなく、米国型のちゃんとした
不動産業者のイメージの、ですが)とお話していても、
「売り側は、ファンド系などが多いが、前回のバブルと異なり、土地のみでなく、
収益不動産であるため、見切売りをするよりも、レンダー(債権者)としては
しばらく持って様子を見ても、賃料を押さえられるので痛みが少なく、
相場の反転を待っている。」
というようなコメントを頂くことが多いようです。

ここ10年ほどで不動産ファンドが上陸したことで、以前の日本の「土地神話」でなく
「収益不動産投資サイクル」すなわち「不動産相場の景気循環」が確立されつつある
ような気もします。

というか、サイクルになってもらわないと、下がりっ放しでは困る、というのも
本音としてはあるのですが・・・・。

またお気軽にご意見下さい。
(^T^)/
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不動産は金融だ?

「不動産は金融だ!」というのは若干言い過ぎなのですが、
こと収益不動産に限っては、そう言っても当たらずとも遠からずと
言えるでしょう。
住宅等の自己居住用不動産は、快適性等に着目して取引され、
鑑定評価においても原価法による積算価格が重視されるので、
金融情勢や融資条件はやや軽視されがちですが、それでも
金融機関の融資姿勢や、行政の支援策(たとえば住宅ローンの
所得税控除など)によって、エンドユーザーの購入姿勢に影響を
与えることは明らかです。
また、不動産鑑定評価基準においては、
「収益は不動産の経済価値の本質を形成するものである。
(中略)自用の住宅地といえども賃貸を想定することにより」
収益還元法を適用するものとされています。
我々不動産鑑定士が、主として民間から受注するのは、近年
ことに収益不動産が多く、その価値を判定するには、金融情勢
や融資姿勢・条件等が重要な要因となります。
直観的にもご理解いただけると思いますが、「売買価格に対して
どれほどの割合で融資するか。(いわゆるLTV)」、「金利は」、
「期間は」・・・これらの条件によって不動産の価格は大きく
左右されます。
我々不動産鑑定士は直近の金融情勢に常に敏感であらねば
ならないと考えています。
ではまた(^o^)/

テーマ : 不動産
ジャンル : ビジネス

直近の不動産マーケットについて

さて本日は直近の不動産マーケットに関するコメントを少しだけ。
概況としては、地価公示・地価調査などの公的指標にも顕れている
とおり、不動産市況は低落・下落傾向であると思われています。
しかしながら、2009年初頭からは、個人投資家の収益物件購入
意欲は旺盛であり、金融機関も、不動産業以外の優良事業者や
一般法人などには積極的に融資を行う姿勢に転じてきているため、
総額で3億程度まで、グロス利回りで10%以上の物件の取引は活発
であり、投資適格な物件は払底してきているのが現状であると認識
しています。
一方で、プライベートファンド等については、従来からのファンドの
出口目線がNOIで5%から6%程度が限界であるところ、新たに日本への
進出を目論むファンド等は購入目線がNOIで7%から8%程度である
ことから、この乖離がなかなか埋まらず、取引に至らないのが実情です。
ここで、ファンドの投資適格物件とは、総額で数十億から数百億円
程度のものであり、要求水準も、遵法性はもちろんのこと、単に利回り
のみならず立地や建物品等なども高いものを求めるため、そうそう
安売りにはならないことが多いですね。
ではまた。

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ジャンル : ビジネス

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