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建築中の建物と留置権

街を歩いていると、たま~に建築途中で工事がストップし、建設会社が「留置権行使により立入りを禁ずる」みたいな看板を立てて中に入れないようにしている案件を見かけることがあります。工事発注者が工事代金を支払えなくなったケースが多いと思われます。

民事上の留置権は、他人の物の占有者がその物に関して生じた債権を有する場合に、その債権の弁済を受けるまで、そのものを留置することができる担保物権です。成立要件としては、①債権と物との牽連性、②被担保債権が弁済期にあること、③留置権者が他人の物を占有していること、④占有が不法行為によって始まったものでないことが必要となります。

一方、商事上の留置権というのもあり、基本的には、民事留置権と同じものではありますが、取引の性質の違いなどから、成立要件が民事留置権のそれを緩和、変更している部分が見られます。商人間において、商行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に帰した債務者所有の物又は有価証券を留置することができるというものです。成立要件としては、①当事者双方が商人であること、②双方的商行為によって生じたこと、③弁済期が到来していること、④債務者所有の物または有価証券であること、⑤債務者との間の商行為を原因として債権者が占有するに至ったものであることが必要となります。②の要件は、被担保債権の発生と留置権の占有取得が双方的商行為によって生じたという一般的関係があれば足りるという意味で、民事留置権における債権と物との牽連性は商事留置権では不要という点が最も異なるところです。

以下は、私が鑑定評価上出くわした案件です。留置権が認められるかどうかによって、土地の権利価格にも影響しますので問題です。案件は、建物として独立の不動産と評価される以前に建築工事がストップしたものですので、すべてのケースに当てはまるというものでもありません。

まず、工事代金債権を被保全債権として、建設会社が建築敷地について商事留置権を主張することは可能なのでしょうか?結論としましては、建設会社は、工事請負契約により、建築敷地上で工事をしていたわけですから、土地に対する権限は、請負契約に基づく債務の履行のために土地に立ち入ることができる権限に過ぎず、発注者である土地所有者の占有補助者としての地位を有するのみで、土地所有者から独立した占有者・占有権限者とみることはできませんので、格別の権限を認める合意でもない限り、建設会社が商事留置権を主張することはできません。

つぎに、建設会社は、工事代金債権により、建前(建築中の建物)に商事・民事の留置権を有していますから、その反射的効果として、土地を占有する権限を有していると主張することは可能でしょうか?確かに建前については、商事・民事の留置権を有しているといえますが、その留置権の行使によって、土地に何らかの反射的効果があるとしましても、これはあくまでも事実上の利益であって、占有権限とはいえませんので、やはり建設会社が留置権を主張することはできません。なお、詳細はわかりませんが、建物の留置権の反射的効果として敷地に対する占有権限が認められた判例もないわけではありません。

さらに、建築工事をする初期的段階で基礎・地階など土地に関する工事を行ないますので、これに該当する工事代金相当が支払われていないといえる場合、この債権は土地に関して生じたものであるとして、建設会社が土地に民事留置権を主張することは可能でしょうか?このような工事が土地に関するものであるのは確かですが、これは建物建築工事の一環であり、建物建築のために、土崩れを防止したり、土地に杭を打ったり、地階や基礎の工事をするもので、建物建築から独立して土地自体の改良などを目的とするものではありません。したがいまして、土地(物)に関して生じた債権ということはできませんので、建設会社が民事留置権を主張することはできません。

そうしますと、工事代金支払いの不履行を理由に建築途中で工事がストップした場合、建設会社が工事代金債権を被保全債権として、建築敷地について留置権を主張することは、一般的には難しいということになります。土地を担保に融資を行った金融機関などの立場にたてば、このような結論は妥当だと思います。競売により貸付金を回収しようと思ったら、建築工事代金債権相当が控除されるというのでしたら、債権回収などできなくなりますので。

では(^E^)
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マンション 敷地利用権がない?

敷地利用権がない\(◎o◎)/!なんていうマンションあるの?
あり得ます。
先週、我ら「やまと鑑定」のメンバーでの飲み会の席で、たまたまでた議論でした。

建物の区分所有等に関する法律第10条では、「敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。」と規定しています。ということは、「敷地利用権を有しない区分所有者」が生じる事態があり得るということを前提としています。

昭和58年に区分所有法が大改正されたとき、専有部分と敷地利用権の分離処分が原則禁止されましたので、現在ではこのような事態が生じるケースはそう多くはないとは思います。この改正によって、一体的登記簿への改整が行われることになりました。不動産登記法も改正され、「敷地権」の登記が導入されました(不動産登記法では、登記された敷地利用権〔所有権、地上権、賃借権等〕で、専有部分と分離処分できないものを「敷地権」と称しています)。当該敷地権登記がなされた後には、仮に分離処分がなされたとしても、善意の相手方にも対抗できることになりました(絶対的無効)。敷地権登記がなされた区分所有建物は、建物が敷地に関する権利と一体化したという客観的事実が公示され、取引の安全が図られたわけです。

昭和58年の改正時の附則で、5年後の昭和63年12月28日までに法務大臣の指定による適用開始と一体的登記簿への改整が行われることになり、専有部分の戸数が50戸以上の区分所有建物の大部分は職権によってこの改整(敷地権登記)がなされました(約1万8千棟、105万戸)。

一方、昭和63年12月28日までに法務大臣の指定を受けないまま経過した既存区分所有建物につきましては、この改正時の附則により、同日付で、法22条1項但書の規定により、「規約で専有部分とこれに対応する敷地利用権とを分離処分できることと定められたものとみなされる」ことになりました。したがいまして、このようなマンションの場合には、集会の特別決議でこの「みなされた規約」を廃止しないかぎり、専有部分と敷地利用権の分離処分が可能(法改正前と同じ)ということになります。築年が古く、戸数の少ないマンションには、まだまだこのパターンのものも多く見受けられます。

なお、区分所有建物といいましても、共同住宅のみのマンションもあれば、店舗・事務所との複合ビルなどもありますし、区分所有の店舗・事務所ビルなどもあります。敷地利用権も所有権の共有、地上権・賃借権(建物所有目的の借地権)の準共有もあれば、土地分有型もあり、所有権と借地権が複合されたものなどもあります。さらに、一部の区分所有建物のみ敷地権登記がなされ、他は非敷地権のままという複雑なものもありますし、土地(所有権)の各筆が不整形で複雑に配置され、各筆の所有権自体を敷地利用権とすべきものもあり、まさにさまざまなケースがあり得ます。

ただ、分離処分が原則禁止される敷地利用権は、「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合」(法22条1項本文)ですので、該当するのは、敷地利用権が所有権の共有あるいは地上権・賃借権の準共有の場合などです。区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれ、この敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で、所有権や地上権・賃借権などを有する、いわゆる分有形式の場合には、これ(法22条1項本文)に該当しませんので、分離処分は可能ということになります。

したがいまして、新しい区分所有建物だからといって、必ずしも、分離処分禁止で、敷地権登記がなされているというものではありません。

こうした中で「敷地利用権を有しない区分所有者」が生じるケースとしては(ここでは主として敷地利用権が所有権の共有や地上権・賃借権の準共有の場合の一般的なマンションを前提とします。)、

①専有部分と敷地利用権の分離処分を禁止していなかった昭和37年法のもとで分離処分がなされた場合、
②昭和63年12月までに法務大臣の指定を受けないまま経過した既存マンションで、上記の「みなされた規約」を廃止していないもとで分離処分がなされた場合、
③現行法22条但書に従って規約で分離処分を認める旨を定めたことによって分離処分がなされた場合、
④借地権付マンションにおいて、地代不払い等で借地契約が解除され、それが認められた場合、
⑤敷地権登記がなされていないマンションで、分離処分禁止に違反する処分であったが、相手方が善意であったためその無効を主張できない(法23条)場合、

などが考えられます。

では、「敷地利用権を有しない区分所有者」が生じてしまった場合の扱いはどうなるでしょうか。最初に述べた建物の区分所有等に関する法律第10条によれば、下記のとおりとなります。

敷地利用権を持ってない区分所有者がいるときは、敷地の権利者(当該専有部分の収去を請求する権利を有する者)は、敷地利用権を持ってない区分所有者に対し、区分所有権を、時価で売渡すことを請求できることになります。

この売渡請求権は形成権ですので、請求権行使の意思表示によって、一方的に時価による売買契約成立の効果が生じます。

とはいえ、収去請求権を失うわけではないので、構造上収去可能であればこちらでも可です。ただ、他の区分所有者の専有部分に影響を与えるときはその承諾が必要と解されており、収去によって他の区分所有者の権利を害せば不法行為責任が生じます。他の区分所有者の権利を著しく害するようであれば、そもそも権利の濫用として認められないと思います。

「時価」については、若干の議論があります。

時価に、専有部分の価値に加えて共用部分の共有持分相当の価値も含まれることに争いはないようです。

判例では、区分所有建物の場合、他の共有者の権利を不当に害することになり、法律構成上も困難などの理由で、敷地共有持分の上に法定地上権は成立しないとされおります(東京地裁昭和52.10.27、東京地裁昭和53.2.1、東京地裁平成3.1.30など)。

そうしますと、「敷地利用権を有しない区分所有者」は、敷地の権利者からなされる売渡請求か収去請求のどちらかに服するということになります。

収去請求が認められるのはレアケースだと思いますので、売渡請求のみ検討します。

東京地裁平成3.1.30の判例では、「収去がほとんど不可能であることからくる収去されない場所的利益」を認め、時価の算定に際し加算すべきであるとされたようです。

「場所的利益」を加算すること自体を否定する見解はほとんど見当たらないようですが、その内容については見解が分かれているようで、整理すれば大きく二つに分かれると思われます。

①借地法あるいは借地借家法の建物買取請求権と同一視する見解
②収去がほとんど不可能であることからくる収去されない場所的利益とする見解

上記①の借地法あるいは借地借家法の建物買取請求権での議論は、借地関係消滅時における地主と借地人との利害調整を背景にでてきたもので、建物の時価には借地権価格そのものは含まれないとするのが判例・多数説となっており、一方、場所的利益を含めるか否かについては、当初、肯定・否定の両判例がありましたが、最高裁昭和35年12月20日の判例以降は、場所的環境を考慮した多くの判例がでて、建物の時価には「場所的利益」を含めるということに学説・判例は固まっています。

では、この借地法あるいは借地借家法の建物買取請求権と区分所有法10条の建物買取請求権とをまったく同一視してもいいものでしょうか。

弁護士荒木新五編著「現代マンション法の実務」(商事法務研究会、H12.8)では、区分所有法「10条が予定している区分所有権者と敷地利用権者」と、「高価な対価を支払って借地権を購入したり地価の上昇に貢献した借地人と土地所有者の関係」とは、同一視できないといえるのではないかとし、区分所有法10条の建物買取請求権と借地法あるいは借地借家法の建物買取請求権とを同一に論じることは妥当でないとしています。

確かに、「敷地利用権を有しない区分所有者」が生じるケースを考えれば、敷地利用権とは切り離された建物の区分所有権を取得した人か、あるいは地代支払いなどの債務不履行によってその事態を生ぜしめた人なので、借地権消滅時の建物所有者たる借地人とは事情が異なっています。私も、両者をまったく同一に扱うのは妥当性に欠けると思います。

とはいえ、判例では区分所有建物の法定地上権成立が否定され、これを批判する学説が比較的多いことを勘案しますと、当事者の状況を利益衡量のうえ、「収去がほとんど不可能であることからくる収去されない場所的利益」を考慮すること自体は、経済価値的側面からの利益衡量という点では、法律構成は別にして、個人的には妥当と考えます。

ただ、その場合の「場所的利益」としては、東京地裁平成3.1.30の判例における「建付地価額の30%」などではなく、「結果的に無償で事実上使用できている」ことを考慮し、「使用借権」と同程度、例えば「堅固建物の場合土地価格の20%」程度、この程度を上限として、個別具体的な事情に応じて判断していくということが妥当ではないかと考えます(使用貸借も、無償とはいえ、当事者間の合意に基づく無償・片務・要物契約ですから、このような前提のない本件をこれと同じというのも衡平性に欠けると考えますので、あくまで「上限」と考え、0%~20%の範囲で個別具体的な事情に応じて判断する方が個人的には妥当と考えます)。

不動産関係に身を置いてから、結構長いと思っておりますが、「敷地利用権を有しない区分所有者」には2回ほどしかお目にかかったことはありません。

そのうちのひとつは、昭和40年代後半に建築された古いマンションで、明らかに共用部分と思われるスペース(受水槽室や機械室でした)が専有部分として登記され、分譲業者から転々と所有権が移転され、何かの債権の代物弁済として取得した方だったと記憶します。敷地の共有持分は、どれが対応するのか判別不能でした。たぶん、敷地の共有持分をすべてエンドユーザーに売却してしまい、敷地利用権のない当該区分所有建物のみが残ってしまったのではないかと考えられるものでした。確か、最終的には管理組合と交渉して安く買取ってもらったと思います。

マンションは、法的側面のみならず、経済価値的側面などが複雑にからんだ問題も多く、弁護士やマンション管理士のみならず、不動産鑑定士としても積極的にコンサルティングに加わっていくべき分野が多いのではないかと思います。
(^E^)

不動産の証券化

ここのところ考えさせられる案件が続いたため、しばらくお休みしておりました。

2007年サブプライムローン問題に始まり、2008年3月ベアー・スターンズの経営危機・JPモルガン・チェースによる救済合併、2008年9月リーマン・ブラザーズの破綻を頂点とする世界的金融危機の勃発、いわゆるグレートパニックにより、外資の影響によるところの大きかった我が国の不動産投資市場も著しく後退しました。

ジリアン・テット著「愚者の黄金―大暴走を生んだ金融技術」(日本経済新聞出版社、2009.10.21)やデイビッド・ウェッセル著「バーナンキは正しかったか?―FRBの真相」(朝日新聞出版、2010.4.30)などを読んでみますと、金融の最先端がこれほど脆弱な構造だったとは思いませんでした。20年以上前に読んだハルバースタムの「ベスト&ブライテスト」(最良にして最も聡明なはずのアメリカの誇るべき英知ある人びとが何故ベトナム戦争の泥沼へ母国を引きずりこんでいったのかを克明に描いたドキュメンタンリー)を思い出します。最近(2009.12)、当時とは別の出版社から新装版が出版されているようですので、何らかのアナロジーを感じている人がいるのではないでしょうか。今回、金融の最先端で活躍していたベスト&ブライテストな人びとが何故大暴走してしまったのか、特に「愚者の黄金」を読むとぞっとします。バーナンキFRB議長は、さすがに世界大恐慌研究の権威だけあって、まだ歴史の審判が下ったわけではないとしても、現在までよくがんばられたと思います。

ところで、我々鑑定士の業界も証券化不動産の再鑑定案件はありましたが、新規の鑑定案件はめっきり減ってしまいました。国交省の資料によりますと、2007年に証券化された案件が約8.9兆円だったものが、2008年には約3.1兆円(対前年比△65%)にまで減っています。2009年のデータはまだ公表されておりませんが、現場で聞く限りでは少なかったのではないかと思います。今年に入ってから、証券化を含め不動産市況も若干回復基調にあるのかな?と感じられる兆候はありましたが、現在、ギリシャ問題がちょっと気がかりではあります。

証券化不動産の鑑定等については、今年の1月1日から、評価報告書を作成し署名押印する鑑定士とは別に、評価報告書を審査する鑑定士(記名のみで、押印はなくても可)も必要となりました(財務諸表の作成目的の場合も同様です)。鑑定業者の内部統制体制を整備し、よりいっそうの信頼性の向上を図ったもののひとつです(でも、我々にとっては負担が重くなりますが・・・・)。

ポピュラーな不動産証券化スキームについて、ちょっと前に若干変わった点がありますので、今回はその話をします。

不動産プライーベートファンドを前提とします。

最もポピュラーなスキームは「TK-GKスキーム」と呼ばれているものです。ヴィークル(箱)としてのSPC(特別目的会社)を貸借対照表になぞらえて説明します。

【SPC】
合同会社(GK)→信託受益権者・匿名組合(TK)上の営業者

【借方】
(アセット)①信託受益権(不動産)

【貸方】
(デッド)②ノンリコースローン ← レンダー
(エクイティ)③匿名組合出資 ← 匿名組合員(投資家)
(資本金)← ④一般社団法人(100%出資者)

③の匿名組合は、商法535条に定められているもので、匿名組合員と営業者の2者からなる組織形態です。匿名組合には法人格がありませんので、法人税が課税されません(法人税基本通達)。したがいまして、匿名組合上の営業者(本スキームでは合同会社)が行う事業の利益をそのまま匿名組合員(投資家)に分配できることになります。投資家は合同会社の不動産事業利益をそのまま配当として受け取れるわけです。その際、匿名組合上の営業者たる合同会社の法人税計算に当たっては、匿名組合員(投資家)に分配した利益相当を損金算入できますので、合同会社にはほとんど法人税が課税されません。「二重課税の回避」が図れるわけです(投資家だけが法人税あるいは所得税等を考慮すればいいわけです)。

この匿名組合を利用する場合には、実物不動産ではなく、信託受益権の取得にほぼ限定されます。実物不動産を取得するスキームでは、営業者は「不動産特定共同事業法」の許可を得る必要がありますが、これは実態のある不動産会社等を想定しているため、SPCが当該許可を得ることは困難だからです。

なお、匿名組合を利用する場合は、金融商品取引法第2条第2項第5号の規定に定められた「商法第535条に規定する匿名組合契約に基づく権利のうち、当該権利を有する者が出資した金銭を充てて行う事業から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利」で同法同条同項の規定により「みなし有価証券」に該当することになります。

一方、ちょっと前に変わった点は、上記④の部分です。以前はこの部分に「有限責任中間法人」が利用されていましたが、2006年3月に公益法人制度を抜本的に改革するということで、公益法人制度改革3法案が閣議決定され、その一つとして「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が、2006年6月2日に公布され、2008年12月1日から施行されることになり、その施行に伴って「中間法人法」は廃止されました(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)。

中間法人を利用していたのは、「SPC(合同会社)の倒産隔離」のためです。これは、SPCが投資家の意にそぐわない行動(倒産手続、定款変更等)をとらないようにする仕組みです。中間法人は、基金の拠出者と議決権者を別々に定められましたので、仮にスポンサー等が基金を拠出したとしても、議決権者としての社員に利害関係のない第三者である公認会計士等を就任させれば、中間法人自体をスポンサー等と切り離された組織にすることができるわけです。そして、中間法人をSPCの100%出資者にすれば、「SPC(合同会社)の倒産隔離」を図れるというわけです。

ところで一般社団法人ですが、法務省のHPの説明によれば、下記の特徴があるようです。

・社員2名以上で設立可能。設立後に社員が1人だけになっても、解散しませんが、社員が欠けた場合(0人となった場合)には解散することになります。設立時の財産保有規制は設けられていません。

・社員総会及び理事は必置。定款の定めによって理事会、監事又は会計監査人の設置が可能。

・資金調達及び財産的基礎の維持を図るため、基金制度の採用が可能(任意)。

・次の()から()までの事項は、定款に記載(記録)しても効力を有しないこととされています。()一般社団法人の社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め、()法の規定により社員総会の決議を必要とする事項について、理事、理事会その他の社員総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定め、()社員総会において決議をする事項の全部につき社員が議決権を行使することができない旨の定款の定め。

・一般社団法人が行うことができる事業に制限はありません。収益事業を行うことも何ら妨げられません。ただし、株式会社のように、営利(剰余金の分配)を目的とした法人ではないため、定款の定めをもってしても、社員や設立者に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を付与することはできません。

・一般社団法人は、定時社員総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大規模一般社団法人にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければなりません。

・設立後二年以内の事業用財産の取得(旧中間法人法第37条)に係る諸手続に相当する規定がない。

概ね中間法人と同様の利用が可能な組織のようです。基金の募集が任意になったこと、設立後二年以内の事業用財産の取得に係る諸手続が不要になったことなど、証券化スキームの組成時の負担は軽減されるようですが、貸借対照表の公告が新たな負担になります。

以上の「TK-GKスキーム」のほかに、ポピュラーなものとしては「TMKスキーム」というものがあります。TMKは、「資産の流動化に関する法律」に基づく「特定目的会社」の略です。説明は省略しますが、このスキームも「二重課税回避」「倒産隔離」が図られています。「倒産隔離」について、特定出資する法人が有限責任中間法人から一般社団法人に変わった点は上記と同じです。

「TMKスキーム」に特有な点は、法定された「資産流動化計画」を作成して、当該計画に沿って不動産の取得、運用及び処分を実施しなければなりませんので、あらかじめ取得する不動産を特定しておかなければならない点です。追加取得等を臨機応変にできないことがやや使い勝手の悪い点です。

ただ、「TMKスキーム」の場合には、「信託受益権」だけでなく、「実物不動産」を取得することもできますので、このような場合には多く利用されます。

不動産の証券化案件は、利害関係者が多いので、スキーム図を作成すると全体が把握できます。

早く市況が回復してほしいものです。(^E^)

遺産分割の評価時点

先週、遺産分割について相談をうけました。
その時、問題なったことの一つとして、遺産分割をする際の評価時点についてです。
どおも、その方のお付き合いのあったコンサルタントの方が勘違いされていたようで、相続開始時点と解釈されていたようです。

遺産分割の遺産分割についての評価時点は、判例上、
遺産を分割するその時点、
ということとなっています。

不動産は価格の変動が大きいので、評価時点は重要となります。
鑑定評価を行う場合であれば、価格時点の問題となります。
今回のケースでは、相続発生後3年程経過していました。
皆様ご承知のように、まさに不動産価格の変動は大きかった期間です。

遺産分割協議は、相続開始後直ちに開始するとは限らず、仮に直後に分割協議をはじめた場合でも、調停等が長期となるケースもあります。
民法上、相続開始時点では相続財産は相続人全員による共有となります。そして、遺産分割協議が整ったら遺産の配分が確定し、相続人それぞれが取得した財産に対して単独で処分権をもつことができます。
このような理由から、現実に財産を分割する時点が公平、ということになっています。


では、また(^S^)/



平成版江戸名所図会!

週刊文春(2009.10.8号)の「私の読書日記」で立花隆氏が、永井伸八朗著「平成版江戸名所図会」(日貿出版社、2009.7)を紹介していた。興味があったのでさっそく買ってみた。

江戸名所図会

この本は、元々建築デザイナーをやっていた著者が、「江戸名所図会」※を微細でリアルな絵に仕立て上げたものだ。

※「江戸名所図会」 ・・・・ 江戸時代後期に斎藤月岑が刊行した江戸の地誌(7巻20冊)。日本橋から始まり、江戸の各町について由来や名所案内を記し、近郊にも及んでいる。神社仏閣、名所などの挿絵が入った江戸の観光ガイドブックともいい得るものだ。

「平成版江戸名所図会」は、著者が資料を丹念に集め、史実に忠実に橋の長さや街の様子を正確に再現しており、パース的な、つまり鳥瞰図的な手法を多く取り入れ、当時の情景を描き出している。

個人的には、歌川広重の「名所江戸百景」(ほとんどの江戸名所が網羅されている)が載っている本を「この風景は現在のあそこだな!」などと考えつつ眺めたりするのが、結構気分転換になったりしているのだが、この「平成版江戸名所図会」はとにかくすごい。

江戸の切絵図(当時の住宅地図のようなもの)と現代の都市地図の該当箇所が一緒に掲載されており、わかりやすく、風景は立体的で色彩豊か、さらに微細に描かれているので、ほんとうにリアルで見事な出来ばえだ\(◎o◎)/!

先週の木曜に購入し、ページをめくる手が止まらなくなってしまい、1日で読了してしまった。今でも、手が空いたら、ついつい絵を眺めてしまう。

1枚1枚の絵に、何十人、多いもので百人以上の人物が丁寧に描きこまれており、見ていて飽きることがない。

仕事柄、役所で調査対象の土地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」(文化財保護法により、文化財を保護する行政サイドが、遺跡分布図などにより一定の地域を囲み、閲覧できるようにしている土地)か否かなどの確認をするケースは多い。

先日も、港区役所でベイエリアに立地する案件の埋蔵文化財の有無を調べていたのだが、品川駅~田町駅にかけての第一京浜(旧東海道)より海側は、「ここは江戸時代までは海の範囲です。」などと言われ、「は~ん、ここまで海だったのか!」と驚いたところだった。ただ、平面上の地図で確認しただけだったので、いまひとつピンとこなかった。

「平成版江戸名所図会」に掲載されている「高輪大木戸」や「品川宿」を見たところ、「なるほどね~」とよりリアルに納得できた。これは、歌川広重「名所江戸百景」の「高輪うしまち」や「品川すさき」などを見ても、そこまでリアルには感じられない感覚だ。

また、お恥ずかしながら、私、「吉原」の場所を今まで知らなかったのだが、「平成版江戸名所図会」の「新吉原」を見て知ることができた。びっくりしたのは、近くに自分の公的評価担当ポイントがあったことだ。結構不便な場所にある既成商店街なのだが、どうしてそれなりの商業繁華性があるのか不思議だったのだが合点がいった(これは私の勝手な合点です)。

なぜ題名が「"新"吉原」なのだろうか?

元々遊里は江戸の各地にあったようなのだが、治安上や風紀上からも問題があるので、市中に分散していた遊里を日本橋に近い葺屋町というところに纏め、公許の遊郭が造られた(1618年)。その辺りは葭(よし)しか茂っていないようなところだったので、「葭原(よしわら)」と名付けられたらしい。そしてこれを縁起付けるため、「吉」の字を当てて「吉原」と改められたようなのだ。これが「元吉原」だ。

その後、明暦の大火(1657年、世にいう「振袖火事」)で焼失したのを機会に、浅草の田圃の中へ移転することになり、3町(約330m)四方の広さに造られたのが一大遊郭「新吉原」だ。

一般にはただ「吉原」といっているが、正しくは「新吉原」でいいのだ。まあ、「吉原」については、時代劇や映画などでよく見かける風景なのでそれほどの驚きはないが、当時の雰囲気はよくでてるで「ありんす」(「あります」、田舎から沢山の女が身売りされてくるので、訛りを隠すため吉原独特の言葉があった)。

言いはじめたら切りが無くなるのでこの辺でやめる。
「平成版江戸名所図会」にはまだ32箇所しか掲載されていないので、著者にはもっともっとがんばって描いてほしいと思う。
(^E^)
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やまかんllp

Author:やまかんllp

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