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民主党代表選 ちょっと一服(^_^;)

9月1日告示の民主党代表選を前に、菅直人首相と鳩山由紀夫前首相が昨夜30日の夜、首相公邸で会談し、小沢一郎前幹事長の出馬回避に向け、両氏と小沢氏との「トロイカ」に輿石参院議員会長を加えた体制を重視して、政権を運営していくことで一致した、とのニュースがありました。これによって、小沢氏が出馬の方針を撤回し、対決回避の可能性が出てきました。

でも、私としましては、小沢氏に出馬していただき、堂々と政策で議論していただきたいと思っております。

菅直人首相サイドは、国民世論の動向も味方し、しきりに「こんな短期間に首相がコロコロ変わってもいいのか」といっておりましたが、危機の今、重要なことは、首相がコロコロ変わることによって「政策がコロコロ変わってもいいのか」ということだと思います。

政策は継続して「やりつづけ」ないと成果はでませんし、継続して行われないと資源の無駄使いになるだけで、危機がなお一層深刻化するだけです。首相がコロコロ変わること自体は、政策に継続性があれば、たいした問題ではありません。「政策がコロコロ変わる」ことこそ問題です。

「ローマ人の物語」を15年かけて書き終えた塩野七生さんも、ローマ帝国「危機の三世紀」について言っています。「ローマ帝国も三世紀に入ると、政策の継続性が失われたのである。具体的に言えば、皇帝がやたらと変わるようになった。」「三世紀に入ったとたんに、ローマの軍事力が弱体化したのではない。経済力が衰退したのでもなかった。これらは、後になって襲ってくる現象である。皇帝の交代が激しく、在位期間が短く、それゆえに政策の継続性も失われることによる力の浪費の結果として、生まれてきた現象なのである。政策の継続性の欠如こそが三世紀のローマ帝国にとって、諸悪の根源であったのだ。」と。

また、「危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか。だがこれは、夢であって現実ではない。」と。

「共和政ローマ」が巨大化するにしたがって、それまでの元老院を中心とする寡頭政ではどうしても立ち行かなくなってしまったときに、塩野七生さんも大好きな「ユリウス・カエサル」が現れます。「見たくない現実も見ることのできる」カエサルは巨大化したローマの国家システムを変えようとしましたが、「見たいと思う現実しか見ることのできない」人々に暗殺されてしまいました。ただ、若干19歳の「アウグストゥス(オクタヴィアヌス)」がカエサルの意志を引き継ぎ、40年以上もの長期政権を維持して、後の「ローマ帝国」を確立することになります。

なお、シェークスピアは、「ブルータス、お前もか」のブルータスを、当時誰もが認める教養人で、潔白、無欲で野心のない「マルクス・ブルータス」(母セルヴィーリアはカエサルの愛人)として描いてますが、これは、ガリア戦役・ローマ内戦をともに戦い、その軍事的才能をカエサルが高く評価していた傘下の幕僚「デキウス・ブルータス」のことではないかという意見の方が多いようです。第一相続人のアウグストゥスが辞退した場合の相続人にはデキウス・ブルータスが指名されておりました。また、カエサルは、セルヴィーリアに頼まれてマルクス・ブルータスにいろいろな便宜を図ってあげてましたが、教養・潔白・無欲・野心のなさでは誰もが認めるこの人をカエサルはあまり評価していなかったようですので。「見たいと思う現実しか見ることのできない」人だったのでしょう。

カエサルには現状の問題とこれを解決する新しい国家のメカニズムが見えていたのだと思いますし、アウグストゥスにはこれを引き継ぎ、確立するための強い意志がありました(軍事的才能はカエサルにははるかに及びませんでしたが、カエサルは、ひ弱そうな青年に、統治者としての才と強い意志を見抜いていたようです)。

後のローマ帝国をみれば、カエサルの見ていたものが正しかったことが証明されます。ローマきっての論客で現在でも著名な「キケロ」も現状の問題は十分に認識していたとは思いますが、「見たいと思う現実しか見ることのできない」部類の人だったのでしょうか、友人関係は維持していましたが、カエサルの考えを理解しようとはしませんでした。カエサルがルビコンを渡り内戦が発生してからのキケロは、これが現在にも名を残すあの弁論家のキケロか、と思うほど情けない行動をとります。責任をもった決断と行動の伴う政治家と弁論家の違いなのでしょうか(なお、キケロの博学ですばらしい多くの論述を否定するものではまったくありませんし、弁護士出身の政治家がみんながみんな案外信用できないというつもりも毛頭ありません。)。その意味では、考えが正しいかどうかは別にして、最後まで発言と行動が一致していたガチガチの共和政派「小カトー」(マルクス・ブルータスの叔父)の方が立派に見えます。

再度、塩野七生さんが言っていたことを引用します。「亡国の悲劇とは、人材が欠乏するから起こるのではなく、人材はいてもそれを使いこなすメカニズムが機能しなくなるから起こるのだ」と。

中世の都市(貿易)国家「ヴェネチア共和国」の歴史を書き、「共和政ローマ」と「ローマ帝国」の歴史を書いてきた塩野さんだからこそ、発言にも深みを感じます。

確かなビジョン、政策の継続、それをやりつづける強い意志、これらが今求められるべきことだと思います。菅直人首相と小沢氏では、だいぶ考えが異なるところもあるようですので、ここは小沢氏に出馬していただき、堂々と政策で議論していただきたいと思っております。そして、主張した以上は、その政策をやり続け、後々の政権にも引き継いでいっていただきたいと思います。

最近、昨年政権交代時の「政治主導の確立」がだいぶ後退してきていますので、今一度国民の前で、民主党の骨太の政策がどこに向かっているのかについて議論してもらいたいと思った次第です。

では(^E^)
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